東京都近郊にお住まいの30代経営者、
Vさんから面談依頼を頂き、
現地を訪ねました。

Vさんは食品関連の会社を営んでおり、
奥様が介護系の会社の代表を
務めておられます。

Vさんは昨年、
一度ワタシのセミナーを
聴講されています。

我々の仕事の概略を
ご理解頂いた上での面談。

そんなに時間はかからないだろう、
と思っていましたが、
介護系会社の社長である奥様の
ご理解を頂く都合上、
二時間以上の面談時間を要してしまいました。

お問い合わせの概略はこうです。

「現在は、
資金繰り的には近々に行き詰まる、
と言う状況ではありません。

どうにか資金は廻っています。

社業を拡張しようとすると
どうしても新規で融資を受けたくなる。

ただ、あまり借金は重ねたくない。

たちばなさんの知識やノウハウを駆使して、
どんなアドバイスが頂けるか、
伺ってみたい。」

という事でした。

事業は拡張したいが、
借金はしたくない。

一件無謀とも思えるニーズです。

みんながみんな当たり前に持っている希望です。

ワタシは答えました。

「借金をせず、
事業を拡張しようとするなら、
儲けを増やすしかありません。

儲けを増やしたいなら
売り上げを増やすか、
売上を維持したまま
経費を減らすしかありません。

売上を増やすのは、
客数を増やすか
客単価をあげるかしかありません。

経費を減らしたいなら、
何らかの業務上の不都合は
覚悟しなければなりません。

業務上の不都合を避けながら、
経費を減らしたいなら、
支払利息や借入元金の返済を
圧縮するのが一番社業には
影響は少ない事を私は知っていますし、
Vさんの置かれた融資状況では明らかです。

でも、その後の新規の融資は
受けにくくなります。
既存の取引銀行からはね。

空き担保があるみたいですが、
それを提出して新規の銀行から
新規の融資を引っ張り出す
お考えのようですが、
銀行は担保に対して融資をするのではなく、
Vさんや奥様の事業に対して
融資をするのですから、
直近で赤字決算を組んでしまった
Vさんご夫婦にスムーズに
融資が実行される可能性は低い、
と考えるべきでしょうね。

ですから、やはり一番Vさんの
欲求を満たす優先順位は、
借入金の元金や返済利息の支払いを
抑える事が最も近道だとは思いますが。」

と答えました。

その後、
社内の数字を精査しているウチに、
ある事に気が付きました。

”役員報酬が異常に少ない”事に。

Vさんと奥様が、
各々の会社から受けていた役員報酬は
・・・・16万円でした(各8万円)。

Vさんご夫婦には
2歳のお子様がいらっしゃいます。

お休みはおふたりともありません。
朝から夜遅くまでお二人は働きづめです。

この度の面談についても、
Vさんはともかく、
奥様も夜9時過ぎまでお付き合い下さいました。

「ワタシの話しにお付き合い下さり
ありがたいと思っていますが、
奥様、今お子さんはどちらに?」

と聞くと、
今は義母に預けていますと。

「毎日こんななんですか?」と聞くと、
「ええ、まぁ・・・」と。

ワタシの次女も現在4歳半。
5月には5歳になります。

胸がギュ~・・・っと
締め付けられる思いになりました。

4歳半の子供が、
母親と接する機会が少ない状況は、
どんなに過酷な状況か、
という思いになったんです。

イチイチ引き合いに出して悪いですが、
それで得る評価が・・・・・毎月8万円??

これは、評価と代償に見合っていない、
と判断しました。

「Vさん、あなたは先ほど、
”どうにか資金は廻っている”
とおっしゃいましたが、
これは”廻っている”とは言いません。

奥様やお子さんを守らず、
あなたは銀行を守っているんですよ?

今後の事業拡張の為に
融資を受ける優先順位と、
4歳半のお子さんと
母親とのスキンシップの時間を
確保する優先順位と、
Vさんはどちらが優先ですか?

前者を優先するなら、
ワタシと関わる意味は無いと思います。

後者を優先するなら、
ワタシは仕事をさせて頂きます。」

と答えました。

幸い、Vさんの会社は
現在リスケをしておらず、
まだ交渉次第によっては
新規の融資が受けられる可能性を
秘めていましたので、
資金調達と返済圧縮の
”両立て”で、
コンサルテーションを展開する段取りが
出来そうでした。

ただ、ワタシはいつも言っていますが

「国内法は、借りるまでは貸す側。
借りてからは借りた側が絶対的に強い!」

のですから、
資金調達に絶対はありません。

ましてVさんや奥さんの会社の業績は、
経験上、新規の資金調達が
微妙な状況でありますからなおさらです。

尤も、Vさんは冒頭に、
「あまり借金を重ねたくない」
と仰っているのですから、
新規の調達が出来なかった時に、
初めて返済の圧縮や一時停止を
考えれば良いのですから、
急激な事業拡張は難しくとも、
会社を維持し、
資金を確保し続ける事は出来そうです。

その間に、Vさんはともかく、
奥様がお子さんとの時間を
確保できる環境をつくる事が優先である、
というワタシの主張を受け入れて下さり、
Vさんの会社は、新しいスタートを切ります。

二時間超の面談を終え、
奥様が「クスッ・・・」と、ひと笑い。

「どうしましたか?
何かワタシ、おかしいですか?」

と聞くと、奥様は答えました。

「いつも、ワタシ会社の事で
主人から怒られながら、
仕事をしているんです。

夫って結構ワンマンなんですけど、
そんな夫が、
たちばなさんから怒られているのが、
なんかおかしくって。

少し嬉しくもありました。」と。

傍らで、苦々しくも微笑む
Vさんの表情がありました。

そんなに厳しくVさんを
叱責したつもりはなかったんですがね・・・^^;。

Vさんが比較的、
砕けたお人柄である事と、
ワタシと年齢が近かった事もあり、
ワタシが話す言葉が少々厳しく、
乱暴だったのかもしれません。

これは反省。

でも、この度の個別面談は、
Vさんご夫婦に
良い影響を与える事が出来たみたいです^^。

今日の段階では、
結果的にVさんが笑っているのでこれでよし!

ワタシも早く、
新潟に帰って娘たちの顔が見たい・・・・。

新潟に帰ったら帰ったで、
うるさくてかなわないんですけどね^^;。

金融機関含めた債権者よりも、
家族や従業員を守る経営を実践しましょう!

2016年も、
この思いは変わりません。

自己破産しちゃいけない!
自殺はもっとしちゃいけない!!

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発行者:株式会社MEPたちばな総研
筆者:たちばなはじめ