一年以上前に、
異業種交流会で知り合いになって以来、
折に触れ接触のある
都内の経営者からご紹介頂きました。

山梨県のとある経営者。
Cさん。

ワタシと同い年の42歳。

池袋のいつもの喫茶店で
お目にかかりました。

Cさんの会社は印刷会社。
Cさんは三代目の社長。
創業者はCさんの祖父。
二代目は父親。
典型的な世襲社長。

年商は数億円。負債は7億円。

最初のアプローチはメールでした。
下記の通りです。

下記を公開するに際し、
人物や企業等を特定できる表現は修正し、
なるべく文章全体の印象が
変わらないように配慮を加え、
ご本人に確認を得た上で、
ここに表記いたします。

———————————-
たちばなはじめさま

初めまして。

東京の〇〇社長からご紹介を頂き、
突然のメールを差し上げます。

ワタシは山梨県で
印刷業を営んでいる
三代目社長のCと申します。

どうぞよろしくお願いします。

会社の業績不振に悩んでいます。

紹介者の〇〇社長とは
遠縁の親戚にあたります。

先日山梨県内で〇〇社長と
久しぶりにお目にかかり、
互いの近況を話していましたが、
「最近業績が厳しくてね。」と
悩みを打ち明けたところ、
たちばなさんのHPを紹介され、
メルマガを読み、
体に電気が走りました。

「全部読んでみよう!」と思い、
4日かかりました(笑)。

失礼ながら、
だんだん文章が
上手になっていく様子がわかり、
そういう意味でたちばなさんの
人間臭さを感じた次第です。

また、私も昭和46年生まれ。
たちばな様と同い年。

たちばな様も、
かつて新潟で世襲経営者。

事業の種類は
HPでは公開されていませんが、
〇〇社長から伺っています。

平成21年のたちばな様に
起こったトラブルが、まさに今、
私に起きようとしている中で、
4日かかりましたが
空いている時間の中で
必死に読ませて頂きました。

当社も現在、
資金繰りに困っています。

たちばな様もかつて
6億円の負債を抱えていた、
と伺っていますし、
ご自身がされた借入ではなく、
お父様の分を引き継がれていますね。

私もまさにそれなんです。

毎月毎月、
経理担当者から
「今月も足りません。
来月も恐らく足りなくなると思います。」
と言われ続けており、
どうにかなってしまいそうです。

東京でお忙しくしておいでかとは思いますが、
経理担当者と東京へ出向きますので、
一度会って頂けないでしょうか?

応答をお待ちしています。
—————————————–

こういった文面を頂き、
その後何回かやりとりを経て、
先週お目にかかったというワケです。

隣には、
Cさんのお父様が社長だった時からの
番頭役をされている
50代の女性経理担当者、R子さん。

ワタシを含めての三者面談です。

「遠方から上京下さり有難うございます。
たちばなはじめです。」

とお二人にご挨拶。
早速本題に入りました。

事前のメールでのやり取りでは、
「饒舌」を感じた、Cさん。

しかし、実際の面談では、
私に対しての事業の趨勢や、
借入金の内容、
元利返済の詳細の説明から、
今までに考えていた
会社としての方針等の説明は、
全てR子さんから。

ワタシが直接、
Cさんに質問をしても
Cさんはそれに対して、
横を向きR子さんに返答を促す所作を。

そしてR子さんが詳細に、
ワタシに対して説明をする、
という事が約40分ほど続きました。

番頭さんのR子さんのおかげで、
大変詳細に会社の中身を
解りやすく理解する事が出来ました。

その後、
我々が考える
事業再生プランの概略をご説明し、
CさんとR子さんは、
うなづきをくりかえしながら、
ワタシの説明を理解していきました。

それから、それに関わって、
Cさんの会社が受けられる経済効果や、
それに関わって
我々が受ける報酬なども
ご説明した事を付け加えます。

約140分の面談を終え、
ワタシから最後に・・・・・・・

「我々の仕事の範囲で
御社の事業は数か月のウチに
改善されようかと思います。

ご依頼を頂ければ、
我々は仕事をさせて頂きますが・・・・・
Cさんいかが致しますか?」

と質問致しましたら、
そこでもCさんは、
傍らにいるR子さんの方を向き、
「どうしようか?」と。

ここでワタシは
ガマンが出来なくなりました。

「Cさん、同い年で世襲経営者。

先代が遺した負の遺産によって
あなた自身が苦しんでいる事に
ワタシはシンパシーを感じています。

感じているからこそ、
あえて申し上げます。

あなたは社長失格です。

資金繰りは、
企業の根幹中の根幹です。

その根幹は平時の時に
担当者に任せておくのはいいでしょう。

でも現在、
Cさんの会社は平時ではなく有事です。

会社の存否に関わる重要な決済を、
番頭とは言え、
一従業員であるR子さんに
任せるとは正気の沙汰とは思えません。

Cさん自身が会社の数字を理解した上で、
R子さんに
促しているのならまだ解りますが、
今日、ワタシがあなたにした
数字に関するいくつかの質問の全てに
あなたは答えていません。

答えたのは一従業員であるR子さんです。

これは、
R子さんを否定しているのではありません。

平時の資金繰りを
担当者に任せる事は出来ますが、
有事の資金繰りを
担当者に任せ続ける事は出来ません。

有事の資金繰りは、
社長以外に出来る人はいないんです!

あなたは現在、
社長としての唯一無二の仕事を
放棄しています。

そしてその重圧を
一従業員であるR子さんに
負わせてしまっています。

ワタシは、
社長は従業員の為に
煮え湯を飲む覚悟は
あるべきだと思っていますが、
従業員は社長の為に
煮え湯を飲むべきでない、
と考えます。

Cさん、
目覚めて下さい!

会社の財務状況を把握する努力を
怠らないでください!」

かつて
小売業の世襲経営者だったワタシも
そうでした。

全ての環境が出来上がった状態で、
ワタシは父親から会社を預けられました。

ワタシも恥ずかしい話ではありますが、
会社の財務を知らぬまま、
社長になりました。

「現場第一主義!」
なんて都合のいい事を言いながら、
アルバイトスタッフでも出来る
接客などに時間の大半を使っていました。

でも単価の高い社長が、
アルバイトスタッフでも
出来る仕事をするって事は、
ここに「高コスト体質」が生まれる、
って言う事ですよね?

ワタシがそこに気づいたのは・・・・・
会社として「末期の頃」でした。

大学の新卒者を採用して、
ワタシが8年間、

「お前は当社の番頭になれ!」

と可愛がった担当者に、

「給料が上がらないから会社を辞める」

と言われた時に、
愕然としつつも・・・・・

「よし!自分でやってみよう!」

って思い、
その辞める担当者に対して、

「給料2割増しにするから、
もう三カ月会社に居てくれ。

その間、ワタシに
お前の仕事を仕込んでくれ!」

って頼んだんです。

ワタシは、
「振替伝票の起こし方」から
経理を勉強しました。

一担当者である、
ワタシの部下に、

「これは何という科目を使うの?
これは貸方?借方?」

なんて質問をして、
その担当者に、

「社長、これ間違ってますよ!
ちゃんとチェックしました?」

なんて叱咤されながら・・・・・。

苦労して起こした振替伝票を、
会計ソフトに入力して、
月次で仮決算を組んで、
資金繰り表を作って、
月末の資金が足りるか?
もし足りなければ、
保有している手形の割引の為に、
銀行と交渉し・・・・・

なんて作業を
4か月で覚えた経緯があります。

三カ月の延長の約束をした従業員には
更に一か月延長してもらった事を
付け加えます(笑)

ある程度、
担当者から報告を受けていたので、
数字は把握していたつもりでした。

でも、
会社の財務環境がわかると・・・・・
会社の問題の根幹が、
ワタシの知らない部分に
ある事が解りました。

そして現在、
ワタシが現在のこの仕事を出来ているのも、
この時に会社の財務に関して
徹底的に研鑽を積んだ、
という自負があるからであります。

当時衝撃を受けた、

「財務担当者の退職」。

でもその時の経験が、
現在のワタシを支えています。

そんな経験を持つワタシにとって、
わざわざ山梨から
上京下さったCさんは、
大変に歯がゆく思え、
シンパシーを感じるからこそ、
厳しい言葉で叱咤したのです。

幸い、
Cさんはそれに対して
異論をされる事無く、

「おっしゃるとおりです、
お返しする言葉はありません。

R子さんは親父の代から
仕事して頂いており、
信頼と同時に遠慮がありました。

彼女はあと3年で定年です。

それ以降、
誰がこれをやるんだろう、
なんて思いながら、
なんとなく決断を
先送りしておりました。

今日を機に、
頑張ってみようと思います。

たちばなさん、
頑張りますので、
当社の救済を宜しくお願いします。」

と言って下さいました。

更には・・・・・
担当者のR子さんも、

「ワタシも自分の後任に関しては、
ずっと気になっておりました。

実は娘から、

”昼間に孫の面倒をみてくれないか?”

と言われておりまして、
定年を待たずに
会社を辞めなければいけない
環境になりそうなんです。

そうしようか、
ずっと考えておりました。」と。

ワタシ、

「それならそれで、
CさんがR子さんから
仕事を一から教わって下さい。

ワタシが経験した事、
そのままCさんもやりましょうよ!

似たような環境で
お互い生きて来たんだから、
ここもシンクロさせましょう!

R子さんだって、
安心して退職できますし・・・・。」

との事で現在、
Cさんは会社の現場を離れ、
一日机に向かって
会計の実務を「勉強」しておられます。

「現場第一主義は大切では?」
という指摘もあるでしょう。

「お客様と顔を合わせる
作業は大切では?」
と言う指摘はあるでしょう。

でも、
現場も営業も担当者を設定できます。

育成は出来ます。

でも”有事の資金繰り”は
担当者を設定できません。

こんなところにも
「優先順位」はある、
という事です。

自己破産しちゃいけない!
自殺はもっとしちゃいけない!!

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※全件たちばなはじめが読みますが、
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ありますのでご容赦下さい。

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発行者:株式会社MEPたちばな総研
筆者:たちばなはじめ