先日、千葉県で
建築リフォーム業を営む
40代男性経営者のご相談を受けました。

Vさんです。

面談の合間を縫って現地を訪ねました。
現地訪問往復交通費として
3000円を頂戴しました。

奥様と小学生の娘さんとの三人暮らし。
四年前に35年ローンで家を購入。
創業9年目。

本人曰く、堅実経営で、
少し前に亡くなった両親の遺してくれた
財産を資金に無借金で、
建築リフォーム業を開業。

事業もソコソコ・・・・との事で、
特段その後の人生は心配していなかった、
との事。

ところが・・・・
3・11の震災を機に、業績がガタ減り。

二年ほど前から資金繰りが苦しくなり、
それまでほとんどまともに
付き合った事のなかった銀行や信金に
借入金の相談。

先行き不透明な中、
震災理由の融資相談という事で、
当時の金融機関が柔軟に対応。

結構な金額の融資を受けられたそうです。

その間に業績を回復・・・・・と思いきや、
なかなか業績が回復せず、
昨年秋ごろに各金融機関にリスケを要請。

先ごろ、このウチ一行の金融機関から、
「これ以上のリスケは受け入れられない」
との事で、資金の目途が立たず、
「資金繰り」でWeb検索したところ、
当方のホームページに行き当たり、
ワタシのブログを読み漁った・・・・との事。

そんなご縁でお目にかかったんです。

実直・真面目・几帳面。
こんな印象のVさん。

ワタシとの相談にも
キチンと資料をまとめて提出くださいました。

直近の年商が6,000万円。
借入金残高が3,700万円。
月額元利返済はリスケ済で45万円。

リスケを止めると、
返済金額は倍増します。

借入金に対する担保の設定はなく
個人での借り入れ以外は全てマルホ。

マルホ融資が返済できなくなった時の
弁済スキームは、これまで公開したとおり。

「担保物件を手放せば、
全ての人間が無借金になれる!」

を唱える我々にとっては、
そんなに返済を
大幅に圧縮する事は難しくないし、
債権者側の言いなりになんか
なる必要がないんですが・・・・

Vさんは言いました。

「頑張って建てた家。
絶対に手放したくない!
何とか守りたい!
家族との大切な思い出なんです。」と。

つまり簡単に言うとこうなんです。

借入金の返済はこれ以上したくない・・・・
もしくは大幅に圧縮したままやり過ごしたい。

でも、商売は辞めたくない。
そして自分の資産である家も手放したくない。

これがVさんの主張です。
一見、わがままとも取れるこの主張。

ワタシは少し考えて、
ワタシなりのプランを提示しました。

「Vさん、商売を続けるのは良い事です。
これに関しては大いに今後も辣腕を奮って下さい。

ただ、代表者保証をしている
Vさんが保有している自宅ですが、
これを残すという策ですが・・・・。

借入金の返済を止めて、
一度債権者側に差し押さえて貰いましょう。

失礼ながら千葉県の
こちらでの土地柄を踏まえると、
競売で売れるまで
一年ほどかかるはずですから、
その間その家に住んでいられますし、
”差し押さえ”なんて札が
貼られる事は絶対にありません。

つまり、借金返済しないで、
住宅に住んでいられる時間が
一年近くある、という事です。

その間にまずはあなたの会社に
キャッシュフローが出来るはずです。
毎月45万円の返済を停止するのですから。

そして、自宅が売れる先が、
我々の息のかかった業者であってはいけない、
と言う法律はないのですから、
その業者に物件を購入させて、
その業者が10年とか15年とかで
ペイするように、Vさんが
”賃借料”として支払っていけば、
ご自宅にはずっと住んでいられます。

無論”利回り”を
考慮しなければいけませんが、
この土地ですと
いたずらに高く落札される事は考えにくいです。

自宅をご自身の資産として
今後も変わらず”住宅ローン”として
払っても、残りは31年。

Vさんは80歳近くになっています。

自宅が債権者によって
売られてしまった時点で、
あなたは弁済行為をしました。

それ以外のあなたの資産は
ないのですから、債務者として
法的には”最強”の立場になっています。

これは踏み倒しではありません。
借家として、
”賃借料”を支払っていけば、
そもそも競売で落札した物件ですし、
いまより支払金額は下がるでしょうし、
そもそも賃借物件なんだから、
固定資産税を払わなくてよくなります。

人生80年で考えれば、
そちらの方が得ではありませんか?」

「・・・・・・・」

Vさんは、自身が建てた家が、
「賃借物件」になる事に拘泥しています。

「自分の家、
という想いがあるのはわかりますが、
ご自宅が本当の意味で
自分のものになるのは
住宅ローンが終わる31年後ですよ。

失礼ながらそれまで
生きているかどうかも解りません。

お嬢様がずっと独身で
いるかどうかも解りません。

一般的にお嫁に行けば、
Vさんが亡くなった後の
この家はどうなるでしょう?

31年後に年老いた奥様が、
独りで住むには大きすぎますし、
体を不自由にされていれば、
この家は快適な居住環境とは言えません。

住宅ローンを支払うという行為と、
賃借料を支払うという行為は、
同じお金を支払う行為で同じです。

”勘定科目が違うだけ”なんです。

しかも月額の支払金額としては
ほぼ下がる事は間違いないでしょう。
絶対とは言いませんが。

Vさんの自宅玄関に、
”この家は賃借物件です”
と掲示しない限り、また、
意図的にあなたの事を
調べようとしない限りは
周辺のご近所にはわからないです。

全ては勘定科目の違いを
Vさんが受け入れるか受け入れないか、
だけなんですよ。

極端な事を言えば、
自宅に今後も住み続けながら、
5700万円の借金が
無くなるメリットと、勘定科目が
”住宅ローンから賃借料に変わる”
というデメリットを秤にかけて、
傾いた方をVさんが
選んだらいいんですよ。

全てはVさんが決める事です。」

傍らで奥様は、
電卓をたたきながら何やらメモ。

恐らく今後の人生設計の
計算をされているのでしょう。

こういう時に女性は現実的。
見上げたものだと思いました。

しばらくしてVさん・・・・・

「たちばなさんのおっしゃる意味は
良く解りました。
確かに合理的だと思います。

ワタシに反論する材料は
今のところありません。

ただ、今日初めて伺った
その”新しい感覚”に
ワタシは馴染めていません。

たぶんお世話になると思いますが、
心の準備が必要です。
少し時間を下さい。」と。

ワタシは、

「どうぞご随意になさって下さい。

心の準備が必要なのは
”経験者”として私も理解出来ます。

奥様とよく検討されてください。

ただ、資金繰り表を拝見しますと、
Vさんにはあまり時間が無いように思います。

いたずらに時間が過ぎますと、
少しずつ”首が締まっていく状況”です。

お気をつけて。」と答えました。

すると奥様が、

「パパ、いいよワタシは。
賃貸物件になっても。

今計算してたんだけど、
今後の人生考えてさ、
その方がタブン得だよ。

たちばなさんのお世話になろうよ。」と。

Vさんは奥様の顔を見ずに、

「たちばなさん、またご連絡します。
今日はありがとうございました。」と。

2時間15分の面談が終わりました。

その夜、Vさんの奥様からワタシにメール。

「たちばなさん、
夫がなかなか頑固です。

今、説得中ですからもう少し時間下さい。」と。

このVさん一家は、
奥様が牛耳っておられる様子です(笑)。

少しずつ人口が減り続けている日本社会。

人口が減り続けているのに、
都心部にはドンドンと新しいビル。
そして首都圏近郊には新しい家。

反対に言えば、
優良な中古物件がたくさん出来る、
とも言えます。

”資産を持つことがステイタス”
な時代があった事も知っていますし、
現在の日本にその風潮が
残っているとも思います。

でも、いざ自分が
資金的に追い詰められた時に、
その保有資産が
思わぬ足かせとなってしまう事が
ある事を知って下さい。

順風な時、
そういうところを見落としがちですが、
いざという時に
今日のワタシのメッセージが
皆さんの頭の片隅に残っている事をお祈りします。

1億2千万人ソコソコの日本という国において、
420万という中小企業の数は
一般的に多すぎます。

「アベノミクス」という隠れ蓑で、
金融機関による中小企業の”足切り”が、
もうすでに始まっています。

2013年3月に
「中小企業金融円滑化法」が
廃止になりました。

つまりそれは、
すごく簡単に言うと・・・・
力の残っていない中小企業の
リスケ継続要請を今後は断っても良い、
という事。

ワタシへの相談案件も
そういった「リスケ対応」のご相談が
多くあります。

”リスケ”は、
問題の根本解決策ではありません!

問題の先送りなんです。

そろそろマスコミの報道も抑え気味になり、
銀行が比較的容易に
”リスケ終了!”と言いやすい環境が
出来つつある、という事です。

相談相手が、ワタシでなくてもいいです。

リスケ実行中の事業主各位が
一番やってはいけない事は・・・・・・
「何もせず、ただ頭を抱えて悩んでいる事!」です。

何かアクションを起こしましょう。

その為のチャネルの一つとして
ワタシがいます。
よかったらお問い合わせ下さい。

「お気軽にどうぞ!」なんて
絶対に言いません。

お気軽になんか来ないでください。
人生の一大事として真剣にご相談においで下さい。

自己破産しちゃいけない!
自殺はもっとしちゃいけない!!

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ありますのでご容赦下さい。

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発行者:株式会社MEPたちばな総研
筆者:たちばなはじめ