名古屋のとある企業から
メールでのお問い合わせがあったのは、
今から10日ほど前。

ワタシからメールで簡単返信をして、
文末に「良かったら当方へお電話下さい。
詳細を話します。」と。

ご当人からお電話頂いたのが5日前。

そして昨日、
名古屋を訪ねて来た次第です。
名古屋滞在時間は4時間。

お問い合わせのメールは下記の通り。

匿名性確保の為、
一部文章は加工していますが、
大意は変わらないように配慮しました。

——————————————–
精密機械などの製造販売をしている会社です。

売上が毎年落ち込んでおり、
今期の決算で約1億円の赤字になりました。

決算書の純資産がマイナスになり、
債務超過になりました。

銀行からの借り入れは、
今現在で5億あり
もう借り入れはできないと
言われていますが、
6月の返済3,000万円の返済の
めどが立っていません。

私自身は、
今年の3月より経理を任され、
勉強しながら対応していますが、

この状況になって
会社の方針をどのようにしたらいいか
迫られています。

できることなら、
事業の継続を望みますが、
顧問会計士からは、
いくつかに事業の分割を
することを勧められました。

しかし一部のみを残しても
年間通して安定した売り上げが
あるわけではありませんし、
売上の大きい部門が破綻すると、
たくさんの仕入れ先への支払いが
滞ってしまうことも考えられます。

今の当社の状況で、
事業の継続できる道があるのであれば、
ご相談にのっていただきたいです。

——————————————–

15時に名古屋市近郊の駅で待ち合わせ。

13時に現地に入って、
先月の名古屋セミナー主催者から
「合わせたい人物がいる」との事で、
昼食を頂きながらの
打ち合わせを経て、
予定の15時の10分前に
依頼人のKさんがお迎えに来てくださいました。

Kさんは40代後半の男性。
無口で朴訥とした印象。

父親が社長で80代。
番頭の専務とともに自らは副社長。

Kさんとワタシ。
四者面談。
Kさんの会社にて。

Kさんや専務さん、
社長さんから出てくる
いくつかの質問に対して、
我々が出来るいくつかの手段を
お話ししました。

箇条書きにしてみます。

・リスケはまだ実行していない。
リスケ要請をするべきか?否か?

→リスケは問題の先送りであって
解決策ではないから勧めない。

銀行は、融資をしたくないから
リスケを勧める。

リスケを勧めるという事は、
今後の新規の融資は
受けられないと考えた方がよい。

今後融資をしてくれない
「非協力的な貸金業者」と
付き合う必要は無い。

だからリスケなど
中途半端な事はせず、
返済を止めれば良い。

ただただ金を払って
何もしてくれない業者と
付き合う必要があるのか?

融資は契約。契約は約束ではない。

・月額元利返済は1000万円。
そんな事をやったら・・・・!

→資産の差し押さえや督促状が届く。

資産の差し押さえにあっても、
売れるまで一年以上かかる。

その間事業は続けられるし、
返済はしなくて良い。
資産が差し押さえになるんだから
固定資産税だって・・・・。

月額1000万円の返済を実行せずに、
一年以上事業は続けられる。

1億円以上の
キャッシュフローが生まれる。

不動産業者等に
競売等で落札させれば、
そこに1億円の純利益の中から、
賃料として
新地主に支払っていれば、
事業は続けられる。

無理に自己保有物件にしている
意味が無いのでは?

督促状?
あんなものはただの紙切れ。

資産を差し押さえさせて時点で、
立派な弁済行為。

その他に取られるものが
無い環境が出来れば、
「督促状しか来ない」と考えて良い。

下手に債権者として
法的手段を経ずに
乗り込んで来れば、
法律違反(自力救済の禁止)。

債権者が出来る
数少ない回収行為は、
事前に手段を知っていれば
全て対応可能。

「慌てるな!敵はそれほど強くない!」

・売掛入金の対応は?
→一件ずつ丁寧に説明して回って頂く。

「振込口座を変更願いたい。」と。
菓子折りと粗品を持参して、丁寧に。

売掛金入金の銀行が変われば、
債権保有銀行は押さえられない。

もう一つ手段を付け加えて。

世襲経営者のKさんが
客先を廻って”顔を売る”
良い機会になるのでは??

手間を惜しんではいけない。

・そんな話し聞いた事が無い
→ええ、無いでしょう。

信じるか信じないかは、
Kさんの自由です。

ただ、ワタシは
「出来る」と言っていない。

「やった」と言っている。

ワタシが現在あらゆる
訴追を受けておらず、
身柄も拘束されていない。

現在も自由に
行動出来ているから今日、
名古屋に来ることが出来た。

ワタシが「生きた教科書」では?

・道義的に問題があるのでは?
→道義的問題が先立つなら、
我々と手を組むべきでない。

でも、その後会社が破たんして
債務整理や民事再生をやっても、
道義的責任はついて廻る。

”借りた金を返せない”
という事は変わりないのだから、
道義的責任を突き詰めるならば、
自らが死んでしまって
生命保険金などで
弁済するところまでしないと、
道義的責任は完遂できないのでは?

矛盾していますよ。

・今後の融資はどうやって受ける?
→毎月1000万円の返済を止める、

という事は、
毎月1000万円の融資を受ける事と同じ。

年間で1憶2000万円の
融資を受けると同じ事。

それでも更に融資を
受けなければいけない環境なら、
間違いなく営業利益で
赤字が出ている事業。

そもそもやっている意味が無い。

それが明らかになった時点で、
会社を整理する事を考えても良い。

我々の目からは、
まだまだKさんの会社が立ち直り、
劇的な再生が出来ると考えており、
今日の面談でそれが明らかになった。

こんな話しを約二時間させて頂きました。

かすかに笑みを浮かべる社長と、
しきりに頭をかしげ、
首をひねる専務。

そして真っ直ぐにワタシを見つめるKさん。

しばらくすると、
社長であるお父様が・・・・・

「たちばなさん、大変面白く、
良い話を聞かせて頂いた。

ワタシは、
次の用事があるのでこれで失礼する。

あとは副社長のせがれに一任します。
ヨロシク。」

と席を立たれました。

後日、
社長と副社長と専務とで検討を重ね、
今後の方針の手段の検討材料とする、
との事。

ワタシから最後に・・・・・

「Kさん、客観的に見て、
あまり御社には
選択肢は残されていません。

劇的に売り上げを上昇させたり、
経費を圧縮したり
出来ない業種である事は解りました。

もう返済の圧縮しか手段は無いでしょう。

繰り返しますが、
リスケは根本解決にならないので、
辞めた方が良いでしょう。

返済の超圧縮をするか、
破たん処理をするか・・・・
しかないでしょう。

Kさんは事業を存続したい、
とワタシにメールで
アプローチしています。

すると、
救済手段は一つしかない、
という事。

我々は契約を急ぎませんが、
急ぐべきは
Kさんの方かと思います。

今も赤字は
ドンドン垂れ流しになっている、
という事もお忘れなく。」

会社から最寄りの駅まで、
Kさんが送って下さいました。

「たちばなさん、
ありがとうございました。」と。

ワタシ、

「社長が、
”あとはせがれに一任します”って
おっしゃったでしょ?

あの言葉を聞いて
ワタシ吹き出しちゃいました。

なぜかと言うと、
5年前にワタシが実際に
師匠に助けてもらう時に、
師匠と私達親子三人が面談して、
最後にワタシの親父が、
同じセリフを言ったんです。

だから
可笑しくて可笑しくて・・・・・。

その数か月後に
ワタシの親父は亡くなりましたが、
ワタシは、
親父に期待されて、
師匠からの救済を受け、
会社の資金繰りが
改善したのを見届けて、
安心して死んでいったと思っています。

死ぬか死なないかは別にして、
お父様を安心させてあげるべきでは?

”一任する”って
・・・・・実質的な賛成”
って事なんじゃないでしょうか?

あんまり言うと、
セールスになっちゃいますね(笑)。」

Kさんは、
社長と大番頭の専務との狭間で、
難しい選択を迫られています。

ワタシの主観ですが、
大番頭の専務さんは
あまり乗り気でないように感じました。

社長さんは
乗り気であるように感じました。

副社長のKさんは・・・・・
その狭間で揺れているように見えました。

我々が、
無理やり契約を迫る事は出来ません。

Kさんの、
人生を賭けた大きな決断を
待ちたいと思います。

まぁ・・・・・
実際にやった人間からすると、
「なーんだ、こんなもんか!?」
って思いますけどね。

だって、ワタシみたいな
元・小売業経営者だって
出来る事なんだから。

現在のKさんの置かれた環境と、
5年前にワタシが置かれた環境が
あまりにも似通っていた為、
強烈なシンパシーを感じながら、
副社長Kさんの
お電話を待ちたいと思います。

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発行者:株式会社MEPたちばな総研
筆者:たちばなはじめ